Artist's commentary
仕事場での話。
おばちゃんにトイレに蜘蛛が出たと言われて、僕にその蜘蛛を取ってくれと頼まれた。僕はそれを引き受ける事にした。トイレの中に入ってみると、そこの便座には・・・女の子が居た。「き、きゃあああああ!」その女の子は僕と目が合うなり、大声で叫んだ。「へ、変態。あっち向いてよ!馬鹿っ!!」僕は言われるままに慌てて、後ろを向いた。「・・・もう・・・いいよ、こっち向いて・・・。ノックぐらいして欲しいな・・・。」と不機嫌そうに女子は言い、僕はそれに謝った。ふと、僕は、この子に見覚えがある事に気づいた。「・・・あっ、そういえば・・・君ってさ・・・。」女の子も僕に何か気になる所があったらしい「お風呂場で、一緒におしゃべりしたよね?」と女の子は聞く。そう、蜘蛛だと思っていたけど、彼女はヤマメちゃんだった。久しぶりだね。と僕は彼女に挨拶する。「うん、久しぶり。また君に会えるなんて・・・嬉しいな・・・」と彼女は微笑む。最近、風呂場に来ないね。どうしたんだい?と僕が聞くと、「君が、お仕事始めたあたりからお風呂入る時間が変わったからかな・・・。すれ違ってばかりだったよ。」とヤマメちゃんは言う。そっか~、会えなくて、少し寂しかったよ。と僕が言うと、「私の方がもっと寂しかったよ」とぼそりとヤマメちゃんは呟いて、「あ、・・・いや、なんでもない。それにしても、ここを別荘にして良かったよ。また君にこうして会えた。」とはははとヤマメちゃんは笑って、僕もここをバイト先にして良かったと言い、笑った。そうして、ヤマメちゃんとお話し続けたかったけど、僕は勤務時間中で、続けて話せそうもなかった。そして、ヤマメちゃんには、そこをどいてもらわないといけなかった。それをヤマメちゃんに告げると、「そっかぁ、残念・・・」とヤマメちゃんはしょんぼりとした。ごめんねと僕が言うと、「んん~、いいよ。また、別荘は探せばいいもの」と言い、立ち上がろうとしたので、僕はそれを制して、ヤマメちゃんをお姫様の様に抱っこした。「わぅっ!?」と抱っこした直前、ヤマメちゃんは驚いていたものの、無言で僕に体重を預けてくれた。僕はそのまま、トイレの外までヤマメちゃんを抱っこして連れ出した。外に着くと、ヤマメちゃんは少し名残惜しそうに僕から離れて「ふふ、楽しかったかな・・。また抱っこして。お仕事がんばってね」と言った。うんと僕は答え、仕事に戻りわっふるわっふる