Artist's commentary
つないでみた
お揃いの色を買った。これまでお揃いのものをねだられたことはあったが自ら揃いのものを用意したのは初めてかもしれない。かわいいもの好きの彼女たちに付き合ったペットショップの店頭でそれを眺めてはこの色がいいあの色がいいと考えていた。その思考が顔にでていたはずもないのに犬猫へのそれでは痛いのだと年上の友人が言った。なぜわかったのだろうと聞くことは容易いが、答えてくれるかはまた別の話。だからじゃあどうすればいいのでしょうと答えを促せば専門店で買えばいいやん、とさらりと答えるのであった。その発想がというよりもそんな店がある事自体を知らなかったため、購入は代理でしてもらうこととなった。数週間の後すっかりそんな依頼など忘れていたところで練習前の雑談時にあれ届いたから後で渡すなぁ、などと言われたのだった。渡されたそれは予想よりもずっしりと重みのあるものだった。そら当然やろ、革と金属やもん。そう笑顔で宣う。当然ながら帰り道、彼女が妙に重たげな荷物に気づきなぁにそれと聞いてきた。貴女へのプレゼントでしょうか。はたと中身の奇妙さに気づき、首を傾げる。なんで疑問形なのと苦笑交じりに彼女が空いたもう片手をゆるりと繋ぐ。でも嬉しいな、楽しみにしていていいの?妙に体を密着させながら聞くものだから体温と心拍数が上がる。吐息すらも感じ取れそうな錯覚に息苦しさのようなめまいのようなものを覚えつつも喜んでもらえるものかはわかりませんがとだけようやく零したのだった。彼女の家に着くなりあのね、今日は誰も居ないのなどとまるでドラマや小説のようなセリフが待っていた。いや彼女の両親は共働きのため当然、必然、そのような展開はこれまでに幾度と無くあったのだけれど。あったはずなのになぜだろう、緊張してしょうがなかった。余裕ぶった態度で顔が真っ赤だねなどとわかっているだろうにふにゃりと頬を突かれれば、どうしてもその余裕をなくさせたくなるのだった。片手に下げた袋の重みを意識しつつ、部屋へと上がる。何度来ても安心する彼女の優しい匂いで満ちた部屋。部屋の扉を閉めるなり華奢な体躯を引き寄せて、ベッドの上に彼女ごと座り込んだ。膝の上の彼女は今日は大胆だねと目を丸くしている。妙な緊張に言葉すら出なくなり、無言のまま紙袋の中のそれを取り出した。息を飲んだのがわかった。困惑を隠しきれない様子に少し余裕が出てきてくつりとひとつ笑ってことりを