Artist's commentary
しおいちゃんが縁側でスイカを食べていたんだが
おいしそうにスイカにかぶりついたしおいちゃんがあろうことか種を庭に飛ばそうとしていた。
ああこれはいけないと俺提督は優しくしおいちゃんに話しかけたんだ。
「やあしおいちゃん」
「おいしそうなスイカだね。夏といえばスイカ。スイカといえば夏だからね」
「ただね、しおいちゃん」
「種を庭に飛ばしてはいけないよ」
「このきれいな庭は掃除してくれる人がいて成り立っているんだ」
「でもね、みんなで使う庭だからみんなで協力してきれいにしていかなければいけない」
「だからスイカの種だって、庭に飛ばしてしまうのではなくちゃんと捨てた方がいいんだよ」
「ああ、大丈夫。これから気をつければいいんだ」
「誰にだって間違いはある。それに気づいてこれからどうしていけばいいのか、それを考えるのが大事なんだ」
「ただ困ったな」
「種を捨てるにしても皿には他のスイカが載っている。他の人のことを考えるとここに吐き出してしまうわけにもいかないな」
「うーむ」
「・・・」
「そうだ」
「じゃあこうしよう」
「しおいちゃん、その種を私の手のひらに吐き出しなさい」
「私が責任を持って種を処理しょうではないか」
「なに?提督に悪いだって?」
「なあに、気にすることはない」
「私はね、しおいちゃんがおいしそうにスイカを食べている。それだけで満足なんだ」
「提督の仕事はね、艦娘のみんながせめて鎮守府でくらい平和で心豊かに過ごせるようにすることだと」
「そう、私は思うんだよ」
「だから、しおいちゃんはなにも遠慮することはないんだ」
「さあ、おくちを開いて」
「そしてスイカの種をこの提督の手のひらに吐き出すんだ」
縁側でスイカを食べるしおいちゃんが吐き出す種を手の平で受け止める係を務めたい人生だった