Artist's commentary
黒雛の休日
『今日はとってもお日様が気持ちいいから、美味しいお弁当を用意してピクニックにでも出掛けませんか?』
『わざわざ外で飯食って何が楽しいんだか。面倒臭ぇだけだろ。』
少女の提案に青年は眉を寄せるとさも面倒だとばかりにそっぽを向く。
そんな青年の態度に少女は拗ねたように頬を膨らませるものの、気を取り直すように笑顔を浮かべると青年の右手を握る。
『たまにはいいじゃないですか。ね、行きましょう?』
『…なんで手を繋いだ?』
『行くって言うまで逃がしませんからね。』
怪訝そうに問う青年の顔を覗き込みながら悪戯っぽい笑みでそう告げると少女は自分の指を青年の指に絡めてギュっ、と手を繋ぐ。
青年は繋がれた手をチラリと見やり視線を少女へと戻す。さあ、どうします?――少女の笑顔がそう問いかける。
『わかったわかった…今日はお前の遊びに付き合ってやるよ。とびきり美味いランチを用意してくれるんだろうな?』
降参だ、と肩を落とし溜息混じりに少女が求めていた返事を返す。俺も相当こいつに甘い。そう自覚して思わず笑いが漏れた。
『もちろん!戦人さんとお出掛けだなんて、きっと今日は素敵な一日になります。』
『だといいけどなぁ。』
望んだ返事が貰えたことに喜ぶ少女に意地悪く返してやると少女はまた頬を膨らませる。
その様を眺めながら青年は満足そうに笑った。
――そんな黒雛のとある休日。
二枚目は壁ドン的なもの。お姫様はもっと構って欲しいの。