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Artist's commentary
サイラル居住区にて
戦火にけぶる大橋からさほど距離のない居住区、そこにはまだ日常の面影を残し佇む街の姿があった。
大通りに町人たちの影はなく、都市に満ちていたはずの子供たちの笑い声は消えてしまっている。
しんと静まり返った石壁には遠くの剣戟音が幾重にも反響し、ひとつの低い地鳴りとなっていた。
-サイラル居住区にて-
「やれやれ、旗色は依然としてよくありませんね。あなたはこれからどうするのですか?」
「決まってんだろ、この辺でばっくれるぜ。命まで売っちまえるほど弾んでもらっちゃいねえしな。」
「懸命な判断ですね。あなたは率いてる一団もあります、お仲間と一緒に離脱なさい」
「カラスの兄さんはどうするんだ?俺たちみたいな野良犬にだって帰る場所くらいあんだろ」
「私は…もう少し様子を見てみますよ。さあ、できました。"目"を一羽お貸しします、あなたの右目よりは役に立つでしょう」
「恩に着るぜ。それじゃあ生きてたらまた、酒の一杯くらい奢ってやるよ」
「ええ、覚えておきましょう。道中お気をつけて」
「お互いにな」
名も無き傭兵 pixiv #49674926 »