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Artist's commentary
スライム嬢
魔物とは、その身に魔力を循環させ、それを糧に生きるもののことを言う。その形状は多岐に渡り、動植物に姿を似せたものや、岩や水が動くようになったもの、人工物型や人型なども見られる。
ここでは魔物の一種、スライムについて解説しよう。
スライムは主に液体が魔力により半固形化し、自立行動が可能になった魔物である。魔力を全身に巡らせることで形を保っており、行動や思考を司る魔力の中枢、所謂核は活発な魔力の動きで色が違って見える。
構成組織はほぼ水分で、魔力が宿った先が強酸や溶岩でもない限り、触っても害はない。ちなみに触感はぷよぷよするものからべたつくものまで様々あるが、違いは形状維持にどれだけ魔力を使っているかによる。
要するに、弱点が一目で分かり、魔力の繋がりが断たれた部分は再生できず、触られても大した害はない。こりゃ弱い。
だが膨大な魔力を貯め込んだスライムは知能を持ち、生き抜く為の工夫を始める。
魔力量に比例して細部まで自在に変化できるようになるので、状況によって人型や武器型に形態を変える。射程や硬度、範囲まで自由になれば、生半可な冒険者では手に負えないレベルにまでなることもある。
他にも身体を不透明にして核を見えなくしたり、逆に核を分けてライフを増やしたり、斬られても即座に再生したり、致命傷を避ける工夫も見受けられるようになる。
もっとも、生存率を上げるだけなら、人間の仲間になるのが一番なのだが。
此処に挙げられている図は人と共存している個体の一例で、第三回愛玩用スライム品評会の芸術部門で特別賞に輝いた、物語『湖の主の一人娘』のヒロインの容貌を真似たハヌーレン嬢。出陳者はメルメ・ランジット氏。
何故か小説になりました。(novel/6299779)