
Artist's commentary
断崖より畏れと悲哀を込めて
能登半島の入り口付近、日本海側に沿って、奇岩、奇勝、断崖が連続する海岸線が、
約30kmに亘って続いている。それが「能登金剛」と呼ばれる一帯である。
能登金剛に立ち寄った三人は、代表的な景勝地である「巌門」を見学。
波食によって形成された天然の洞門の風景を楽しんだ。
岸壁に打ち寄せる波は強く、この風景が作られた所以をまざまざと見せつけるようであった。
波の音とは不思議なもので、打ち寄せる風景と音とをずっと楽しんでいたいと思わせるのである。
断崖の上から見る景色もまた一味違い、日本海を遠くまで眺めることと、
高所から眼下を眺めることが楽しめる。
光穂は籤を取り出し、ハズレを引いた者が、
水着を着用し、断崖の端で記念撮影をするよう提案した。
自身が危うい身になるものの、同等の確率になるのであればと、
栞も環も嫌々ながらも、その勝負に乗ることとなった。
結果は栞の負けで、恥ずかしさと、怖さの入り混じった顔をすることとなった。
栞も環も気付いてはいないが、その籤は細工されたものであって、
光穂が負けることはないのであった。