Artist's commentary
「Sophisticated Girl」 如月千早
千早のたっての要望で、また勉強をかねてという名目でブルーノート東京に行く事になった。ネットで予約を取る際に知った未成年お断りという制限に、素直な返事であきらめの肩を落としていた千早が見ていられず、私はいつもライブなどでお世話になっているスタイリストに連絡を取っていた。ステージが始まる夜の部にギリギリ間に合う形で店前にタクシーを乗りつけた私たちだが、後部座席から降り立った千早に思わず目をそらしてしまう。 大人びた千早がいた。 杞憂する私を肩透かしするようにあっさりと受付を通る。席へ向かう寄り添う千早が、そっと私の腕に手を添える。場慣れせず、どこかぎこちない私とは裏腹に、千早は堂に入ったものである。
店内には無類のテクニックを誇るとポスターで謳われていたバンドの演奏が既に始まっていたが、今はただ耳を通り過ぎるばかりだ。男はこういう時に情けないものだ。ドレスアップし、メイクが栄え、優雅なしぐさの千早に私は照れて仕様がなかった。
すばらしく綺麗だった。バンドは今まさにオープニングの締めとばかりのインプロビゼーションが爆発していた。少しはにかんだ千早の笑顔が輝いていた。 ―了―