Artist's commentary
Reimu
例えばこの絵を閲覧する皆さんと同じように、pixivのR-18ボタンを押せば、そこには膨大な質量のポルノが在る。こんな、どこぞの知らんオタクが描いた、東方Projectの二次創作のエロ絵を見ているような皆さんは特に「インターネットによって人々の知識は解放された」なんて言説に同意なんてしないだろうが、ただきっと「インターネットによって人々のポルノは解放された」というのは胸を張って同意してくれるだろう。
みんなポルノに包まれた。ポルノはただ膨れ上がった。それは、むかしの人が思い描いた人間と機械が共存する、快適で華々しい未来とは程遠いかもしれない。しかしある意味では、そのむかしの人の描いた未来図に近いところを最も達成しているのはポルノかもしれない。
ポルノというのは機械的だ。演者がいる場合もあるし、製作者がいる場合もある。場合によっては、目の前で披露されることもあるだろう。しかし、どのような制作過程を踏もうと、ポルノは自然発生しない。自然発生したならそれはセックスだ。ポルノというものは必ず、我々鑑賞者の情欲を刺激するために仕組まれた装置なのだ。
ロボットと共存する未来も、インターネットで知が解放されることも、ついに我々は成し得なかった。しかし、膨大なポルノの解放だけには成功した。それは、むかしの人が夢想した華々しい未来図とは違う景色かもしれない。しかし、ポルノは、むかしの人が未来へ対して願ったものを最も多く達成したもののひとつなのかもしれない。