濡れた草をゆっくりと踏みしめながら彼女は震える声で歌い出す。
それは今まで聞いたどの曲よりも美しく、力強く、私の心を掴んで離さなかった。
風に誘われ輝く瞳に好奇心を灯し地平線の果てに消える彼女は私がずっと憧れていた"大空を舞うオルニス"その物だ。

今でも彼女の残したこの羽を眺めるとあの歌や過ぎ去ったあの日々が蘇り私の心を大空へと誘うのだ。

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第3回キネティックノベル大賞参加作品