Artist's commentary
運び屋🐮コンビ
デフレ時代の日本。
その時代の象徴的存在であり、劇的な低価格をウリとした牛丼店Y野屋は、アメリカ産牛肉の低価値部位の加工、調理方法に工夫を加えることで、美味且つ低価格という魅力的な商品を実現したのだった・・・!
しかしそれも今日ではカビの生えた伝説である。
地球温暖化、動物愛護・・・暴走した政治による牛丼不拡散条約(GPT)の締結。
2022年。牛丼はご禁制の品となってしまったのだ。
牛丼事業各社も当初は事業転換を図ったり、SG人工牛肉への代替を試みたりするなど必死の努力で生き残りの方策を探った、しかし取り締まりを強化する当局に反社会的企業のレッテルを貼られてはもはやなす術もなかった。
また一方、次第に狂気の度を増す特別牛丼治安警察(SGSP)によって牛丼を求める市井の声も強権的に抑え込まれていった。
ある者は強制収容所に、またある者は永遠の沈黙を強いられた・・・。
だが禁酒法然り、かつてのソビエト然り。
いつの時代も、どこの国も、ダメと言われれば融通を利かし、そして無理を通す事を生業とする命知らずが跋扈するようになるのは世の理である。
ー非合法な牛丼配達ならばおまかせあれ。
今日も今日とてデンジャラスな街にV8サウンドが響く。
その咆哮の主はフォード・「トーラス」。
おうし座の名を冠した平凡なアメリカ製ファミリーセダン・・・が、日英の魔の手によって変態セダンとなった「SHO」。
コスワース製のブロックにヤマハの手になる32バルブヘッドという心臓は、さらに作内妄想によって過給機でパワーアップされた、まさに伝説の大盛「牛」丼。
鼻息の荒いSGSPや、牛丼となると手段を選ばない手荒なこの街のギャングどもも、この運び屋コンビには一目置いている。
うかつに彼女らに手を出してただで済んだためしがない。
なにしろ彼女の「タウルス」・ジャッジから放たれるのは.454カスール弾や散弾といったこれまた大盛。
ただそれも彼女らに手が届けばの話。
配達を急ぐ猛牛にはラリー・チャンピオンをもってしても追いつく事は難しいだろう。
注文はひっきりなし。次は警察署長、その次はギャングのボスへお届けだ。
うーん意味不明!