Artist's commentary
ひばふみべーぜ
「日羽梨様……」
上着をハンガーにかけていたら、すぐ後ろから呟くように名前を呼ばれる。
振り向いた途端迫られて壁に追いやられ、困惑する間もなくシャツをはだけさせられる。
「待って、せめてシャワーぐらいは」
言いかけのところをキスで口を塞がれ、そのまま胸をまさぐられる。
あまりにも急なものだから反射的に舌が抵抗するが、それを退かすように舌が入ってきて舐ってくる。
ブラをズラされ、激しく揉みしだかれる。
初めから "そういうこと" をするつもりだったのだから、行為自体は何もおかしくはない。
だけど、"そういう事" が初めてな訳でも、覚えたてな訳でもないのに、何故こうも性急に逸るようにしてくるのだろう。
舌を絡めあったまま、壁を背にしてるところに体重をかけてくる。服越しに二水の身体で日羽梨の身体を味わわんと押し付けてきて、まるで身体全体を使って責めてきてるかのように。
普段は敏感でないところからフェザータッチで丁寧に雰囲気を作るようにして責めてくるのに、今日は待ちきれなかったと言わんばかりにこうしてすぐに……その分少し雑な感じすらある。
少し乱雑な責め方が却って激しく求められてるような悦びを感じさせ、口内を蹂躙されつづけてく快楽に流されそうになる。
唾液を流し込まれ蕩けそうな思考の中で必死に激しく求められてることへの疑問符を浮かべていると、息継ぎの間に二水がつぶやく。
「日羽梨様が悪いんですよ。ようやく夏の薄着な日羽梨様に慣れてきたと思ったのに、またこんな可愛い姿を見せてきて」
なんだ、つまり今日の日羽梨の服が可愛かったからこうも興奮していて、だから悪いのは日羽梨の方だと。
蕩けそうな頭でもわかる。理不尽極まりない。というかこの子はどれだけ日羽梨のことが好きなんだ。
でも、今日着てきた服は二水のことを思いながら新しく卸した服。
新品の服なものだから雨の中着ていくか迷ったけど、二水に見てほしくて。それを、可愛いって
「今日1日ずっと我慢してたんですから……責任、取ってくださいね」
そんなことを言われたら、返事は、もう
……
…
結局、二水の注文で服を着たまましたので、新しく卸した服は皺だらけになって即クリーニング行きとなった。
でもその分たくさん可愛いって言ってもらえたから、卸した価値はあったように思う。